監修:東邦大学医学部内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌学分野
教授 弘世 貴久 先生


糖尿病ってどんな病気?

誰でも食事をすると、一時的に血糖値が高くなりますが、「インスリン」というホルモンがすい臓から分泌されることで、時間とともに正常値に戻ります。ところが、このインスリンの分泌量が少なくなったり、インスリンが分泌されてもうまく働かなくなったりすると、血糖値が高い状態が続いてしまいます。これが、糖尿病です。
血糖値が高くても、初期のころは自覚症状がほとんどないため、糖尿病に気づかなかったり、気づいていてもつい治療をおろそかにしてしまう人も少なくありません。しかし、そのまま放置して病気が進行すると、多くの場合、合併症が起こります。進行すると、失明に至ることもある糖尿病網膜症、透析治療などが必要になる糖尿病腎症、壊疽(えそ)を起こして足や手を切断することもある糖尿病神経障害の「三大合併症」を起こすこともあります。また、脳梗塞や心筋梗塞など、命にかかわる病気を引き起こす可能性が高まります。そのため、早いうちから、血糖値をコントロールすることが大切なのです。

参考:日本糖尿病学会 編・著:患者さんとその家族のための糖尿病
治療の手びき改訂第56版, p.2-5, 南江堂 2014

血糖値が高いとどうなる?
 血糖値の調節とインスリンの働き
「糖」は体にとって最も重要なエネルギー源


糖(グルコース)は体にとって重要なエネルギー源で、血液によって全身に運ばれます。そのため、体に糖が足りなくなると、私たちの体は食べ物から糖分を吸収したり、肝臓に蓄えていた糖を血液中に放出したりします。逆に血糖値が高くなると、血糖は細胞に取り込まれてエネルギー源となり、余分な糖は筋肉や肝臓、脂肪組織に貯蔵されます。このように、体の中の糖の量は一定の範囲に保たれているのですが、糖尿病になるとその調節ができなくなって血糖値が高いままになってしまうのです。

参考:日本糖尿病学会 編・著:患者さんとその家族のための糖尿病
治療の手びき改訂第56版, p.2, 南江堂 2014

医療情報科学研究所 編.
病気がみえる vol. 3 糖尿病・代謝・内分泌 第4版.
メディックメディア, 2014: 26.

IGT(Impaired Glucose Tolerance:耐糖能障害)
WHOの糖尿病診断基準に取り入れられた分類で、正常型と糖尿病型の中間に位置する病態で、境界型ともいわれます。具体的には、空腹時血糖値126mg/dL未満、75gOGTT2時間値140~199mg/dLの群を示します。

血糖値を下げるホルモン「インスリン」

インスリンはすい臓から分泌されるホルモンで、血液中の糖の量を調節します。食事をすると、糖が吸収されて血糖値が上がりますが、インスリンが分泌されると血糖が細胞に取り込まれるため、血糖値が下がります。
しかし、食べ過ぎや運動不足といった生活習慣の乱れや、遺伝などの影響で、インスリンの分泌が減ったり、インスリンが分泌されていても肝臓や筋肉でのインスリンの働きが悪くなって(インスリン抵抗性)、血糖値が高い状態が続くことになります。太っている人はこのインスリン抵抗性が高いことが知られています。

参考:日本糖尿病学会 編・著: 患者さんとその家族のための糖尿病治療
の手びき改訂第56版, p.2, 南江堂 2014

医療情報科学研究所 編.
病気がみえる vol. 3 糖尿病・代謝・内分泌 第4版.
メディックメディア, 2014: 12. より改変

前へ 次へ

ページのトップへ MSD Diabetes Solutions 個人情報の取り扱い ご利用条件